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東京で最もアジアンなスポットこと、上野・アメ横センタービル地下食品街。
以前の記事でこの地下食品街で上海蟹を入手できることをお伝えしたが、今回は実際に連れて帰って料理してみた。我が人生初・上海蟹である。
アメ横・地下食品街で上海蟹を買う

上野といえばここ。地下食品街
地下食品街に上海蟹が入ってくるのは11月から2月にかけて。中国本土では春節に上海蟹を食べる文化があるようで、大晦日から年明けにかけて大量に入荷する。特筆しておきたいのがこの食品街では、はるばる中国からやってきた本場の上海蟹が買えるってことだ。
普段は太湖(たいこ)産が主だが、年末年始は上海蟹ブランドとして名高い陽澄湖(ようちょうこ)産のものも入ってた気がする。
ただし色々と事情があるようで、地下食品街で上海蟹を販売するのは毎日16:30ごろから。

いつの間にか喫煙所がなくなっていた
ここに来るのは年末以来だが、入り口前の喫煙所がなくなっていた。このベンチに食材を買いに来た外国人が集まって無言でタバコを吹かしているのが、なんとも良かったんだけど……。
上海蟹が三杯で1000円

小さい上海蟹、3杯で1000円。
さてさて生鮮店を覗いてみると、売ってる売ってる。まん丸とした蟹たちが銀色のプレートに並べられている。値段もピンキリで一杯800円くらいの安いものから、3000円近いものまで様々だ。
しばらく覗いていたら、中国人の店員が「幾つ?」と声をかけてきた。
「大きいの、いいよ。3つ5000円でいいよ」
そう言いながら大きめの上海蟹を手にとって押し付けてくる。おいおい。まだ欲しいとも、買いますとも言ってないぞ。
とはいえ捲し立てられて動揺してしまい、反射的に「小さいのがいい。3つ」と返してしまった。3つ。相手の思う壺じゃないか。
「小さいの、いいよ。3つ1000円でいいよ」
いかにもテンプレートな日本語で、店員はそのままホイホイと蟹をビニールに突っ込み、千円札を手渡すとぶっきらぼうによこしてきた。正直これが安いのか高いのかはよくわかってない。でも上海蟹は高級食材って言うし、3杯で1000円はそこそこ安い気がする。とりあえずそういうことにしておこう。
持ち帰ってみると……衝撃の事実が発覚

可愛くて料理したくない。
さてさて、家に持ち帰ってきたメスの上海蟹たち。はるばる中国からやってきた可愛い奴らだ。
ちなみに上海蟹は特定外来種に指定されていて、生きたまま販売することは原則禁止されている。現に地下食品街も2016年ごろに上海蟹を生きたまま販売していたため捜査が入り、それ以降は瞬間冷凍して提供している。
基本、上海蟹は生きたまま料理するのが一番美味しいらしいけれども……上海蟹を買うときは、冷凍しているか確認しよう。
上海蟹で炊き込みご飯をつくろう

蟹たち。一応紹興酒も混ぜておいた
早速料理に取り掛かってみる。今回は小ぶりなサイズなので炊き込みご飯を作ることにする。
まず初めに泥抜き。水に紹興酒を混ぜて突っ込む。

達者でのう……
茹でた。
沸騰したお湯に突っ込み、カニ味噌が抜けないように甲羅を上にして、15分ほど弱火でくぐらせる。
アメ横上海蟹は素茹ででも絶品だった

しっかりと身が詰まっている
茹でた蟹から身を取り出して、分けておく。甲羅を割ってみると、小ぶりな見た目とは裏腹に結構カニ味噌と卵が詰まっていた。上海蟹は可食部が少なくて、せいぜい甲羅部分の身と、蟹味噌・卵(オスなら白子)くらい。試しに一口つまんでみる。
……うまい。というか、香り高い。
口の中にふわっと溢れる蟹の香り。でもタラバやズワイのようなストレートさはなくて、なんとなく視界の奥に霧がかった中国の湖が見えるような、控えめな優しい味わいである。
よく、上海蟹のカニ味噌はウニに例えられるけど、淡水でウニが育ったらこういう味になるのかもしれない。なんにせよ酒好きにはたまらない。
頭の中をくるりの「上海蟹〜」が流れてくる。この香りを口に含ませて紹興酒をチロっとやる。
んー、崇高。
小さい上海蟹3杯でも結構な量の身が取れた。サバ缶2本分くらいか。このままつまみにしてしまってもいいかもしれない。

甲羅・足から出汁を取り、炊き出す
とりあえず、残った足と甲羅から出汁をとり、この出汁と日本酒を足して炊くことにしよう。今回はこの三杯の蟹で二合分のお米を炊いた。
絶品炊き込みご飯ができた

できた
お米が膨らんできたら先ほどの蟹身を足し、再び炊き出して完成。炊飯ジャーを空けると、さっきの香りが2倍3倍にもなってムワッと立ち込めた。可食部は少ないけど、その分五感で感じられる旨みが強い気がする。松茸を食べる時みたいな?違うか。

紹興酒で一杯やる。美味しい
できた炊き込みご飯を甲羅にのせてみる。しっかり蟹の出汁が出ていて、これは最早つまみ、呑めるご飯だ。
たった1000円で上海蟹を満喫できるなんて素晴らしい……。今度はもう一回り大きいやつで、蒸してみようかな。いやはや恐るべし、地下食品街のポテンシャル。
〈TEXT/お雑煮〉