ファシストセン滅。学生運動の爪痕
徘徊を続けていると、とりわけアナーキーな空間にたどり着いた。この一帯はアンダーグラウンドで密かに有名なスポットらしい。通路左手には旧ソ連の国章・鎌と槌とともに「ファシストセン滅」と書き殴られている。
壁面には全面にわたってゲバ文字が残っており、「反战共斗(反戦共闘)」「学生主X(学生主義)」などの略字や記号文字(画数の多い漢字をXで省略する)、簡体字を確認することができる。正真正銘、学生運動全盛期に書かれた“本物”のゲバ文字だ。これらのスローガンから推察するに、中核派から分離してネオ・ファシズムを掲げた「革マル派」の学生によるものだろうか。清潔なキャンパス内にこのような空間が残っていることに驚きである。
「中大ゲバ文字」はまさに文化遺産。懐かしむ学生も
個人的に、今回の訪問で最も印象的だったのは、ゲバ文字の下に後付けされた「懐かしむように」という落書き。アナキズムを懐かしむ……。どうやらこの建物を利用する在学生も、その当時に想いを巡らせるようだ。歴史を伝え遺す存在であること、まさに中央大学のゲバ文字は文化遺産そのものではないか。過激思想であることには違いないが、ゲバ文字という文化が絶滅しかけている以上、どうにか歴史の証人として残り続けて欲しいものだ。
<TEXT/お雑煮>
※筆者はノンポリであり、取材先の関係者であることを明記します(取材:2019/9)
※学生以外立ち入り禁止のため不要な訪問はお控えください
※大学内の学生団体は既に解体しており、周辺の研究会・サークルの活動は一切関係のないものです