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2020年はまとまった連休が少ない。7月23日の4連休を過ぎれば、3連休以上の連休は9月19-22日のシルバーウィークしかやってこない。つまり、年末年始を除いて、まとめて有給を使えるチャンスはシルバーウィークがラストになる。もちろん僕はここに照準を合わし、1週間の“夏休み”をもらうことにした。
さてどこに行こうか。時勢的に海外はNG、しかし長期休暇ならばそれにあった非日常が欲しい。そうだ、北海道なんてどうだろう。僕は、最北端からロシアを眺めるのが夢だったのだ。

ふと立ち寄った国際線ターミナルは人影がない
9月20日夕方、成田発のLCCで新千歳空港へ向かう。有給申請が遅れ、19日の飛行機は取れなかった。
搭乗するLCCは3席-3席の737で、窓際の僕は5人の学生グループに囲まれた。彼らのテンションは離陸するやヒートアップ。やはり知らない集団の中に取り残されるのは堪えるものがある。旅の出だしの悪さにすっかり消沈しながら景色を眺めていたが、耳を立てているうちに、隣の男女のやり取りに引き込まれてしまった。
新千歳空港からは快速エアポートで札幌へ。20時過ぎ、北海道勤務となった大学の後輩と待ち合わせ、頼んでいた切符を受け取る。「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」。JR北海道の在来線普通・特急列車が六日間乗り放題になるフリー切符だ。定価は24000円だが、ちょうどGO TO トラベルの補助金で半額の12000円で発売されていた。そろそろ半額の切符が売り切れそうだったので、先に買ってもらっていたのだ。
本日の宿泊先はすすきの、Agodaで予約した900円のドミトリー。遅めのチェックインを済まし、このまま寝るのも惜しく繁華街を歩いてみる。しばらく歩くとタクシーの営業所の横、「大阪名物 たこ焼き」の看板を掲げた鉄板焼き屋が目に入り、なんとなくたこ焼きを頼んだ。10個で600円。カウンター5席のみの店内では、休憩をもらったホスト二人が焼きそばを頬張っていた。焼けるのに時間がかかるので、瓶ビールを煽りながら、ラジカセから流れるラジオドラマを聞き流したり、カウンターのスポーツ新聞をめくりながらタバコもふかしたりする。しばらくしてやってきたたこ焼きはまずまず。小ぶりだが、具材が多く、楽しい。ドミトリーに戻ってからは、ドン・キホーテで買った酎ハイをラウンジで飲む。TVでは、NHKがヴェートーベンを流している。
9月21日、10時発の特急「ライラック」11号に乗って、本日の宿泊地・旭川へ向かう。チェックインには早すぎるので時刻表をめくっていたら、留萌本線という盲腸線が目に入った。調べてみると、自治体の合意が取れて近年中に一部区間が廃線となるという。ライラックを深川で降り、留萌本線のディーゼル車に乗り換えてみる。
車両は、国鉄が民営化直前に製造した気動車・キハ54。2両編成の車内は、廃線のニュースを聞いた鉄道好きで混雑している。留萌本線は終点まで高速道路と並走しており、途中、石狩沼田付近までは車窓左手に高速を眺めながら進む。そんな自動車網の発展とは対照的に、車両はときおり「仮設乗降場」と呼ばれる板張りの簡素な駅に立ち寄ったりもする。わずか1時間弱で終着・留萌駅へ。北海道では急速にモータリゼーションが進み、地方人口の過疎化も深刻になっている。留萌本線の1キロあたりの1日平均乗客数はわずか154人だ。すでに大量輸送という鉄道のメリットは失われており、全線廃止も時間の問題かもしれない。
留萌駅を降りて少し歩くと港があり、そこで釣りをした。今回の旅にあたり、リュックに釣り具も詰め込んできたのだ。ジグサビキを投げると、サバが釣れた。
港沿いに少し歩くと、果てに黄金岬という岬がある。日は傾き始め、ゴツゴツとした岩肌を低い日差しが照らし、真っ黒に輝いている。程よい頃合いで深川へ引き返し、旭川についたのは18時過ぎ。チェックインを済まし、蜂屋のラーメンを食べる。焦がしラードの豚骨スープは油ぽさが突いて違和感があったが、食べ進めるたびにまろやかになり、気づいたらスープを一滴残らず飲み干していた。
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蜂屋のチャーシューメン(1000円)
<TEXT /お雑煮>