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ー前回はこちらー
9月22日。旭川のシティホテルを少し早めにチェックアウト。今日は宗谷本線で稚内へ向かうが、少し時間があるので、富良野線で美瑛の「白金青い池」に立ち寄ることにした。
路線バスにゆられ「青い池」へ
8時43分発の富良野線で美瑛駅へ。駅から道北バスに乗り換える。バスは市街地を抜けると、どこまでも一直線な道路をひたすら進んでいく。特に目印となるものもないため、バス停はそれぞれ「美沢10線」「美沢11線」などと数字で区別されそっけない。軋む車内から景色を見渡すと一面、黄金色の田畑の先に十勝岳の稜線が広がっている。ときおり、収穫を終えた玉ねぎがオセロのように、規則正しく転がっている。
白金青い池を眺めたら、道北バスで旭川へ戻り、ジンギスカンを食べた。ひとり旅のジンギスカンは想像以上に贅沢。団体がテーブルを囲む中で、鉄板を独り占めして黙々と肉を焼いていく。焼きたてのラムを頬張り、口いっぱいに旨味が広がったタイミングで一気にビールを注ぎ込む。ライスを食らい、また肉を焼く。
日本最北の特急列車「サロベツ」に乗る
13時、旭川のニューデイズで追い酒とツマミを買い、特急サロベツ1号に乗車する。旭川と稚内を結ぶ、日本最北の特急列車だ。サロベツはわずか4両の特急で、うち指定席が3両・自由席が1両。秋口のようなオンシーズンは座席の取り合いになる。稚内までの所要時間は4時間。もし座席を取り損なうと苦しい旅になる。今日もすでに指定席は満席で、到着の30分前から並び、なんとか窓側の自由席を確保した。
13時35分、サロベツは立ち客も出るほどの大混雑で旭川を出発した。宗谷本線は途中、名寄までは上川盆地を進むが、名寄を過ぎると天塩川に沿って、山あいを縫うように走る。日本の鉄道の車窓には必ずどこかに人工物が入り込むが、宗谷本線はあるがままの、大自然の中に取り残されたような景色である。もしかすると、宗谷岬の向こう、サハリンにも同じような景色が広がっているのかもしれない。
幌延駅手前で天塩川と逸れると、列車名の由来となったサロベツ原野へ。南稚内の手前で高台を駆け上がり、大きくカーブすると車窓がひらけて日本海が現れる。宗谷本線唯一のオーシャンビューである。視界の先には利尻島・礼文島が、暮れかかる太陽の光を浴びて、黒くはっきりと映る。旅のハイライトにふさわしい眺めだ。
最北都市・稚内。まるでロシアの地方都市
17時23分、列車は終着・稚内駅に到着した。駅前は、ロシア人の往来も多いのだろうか、至る所でキリル文字を見かける。道路の案内標識は、日本語・英語・ロシア語の三段表記になっており、全国的にも珍しい。
駅前の商店街は、雪除けに書かれた店名がロシア語になっていた。ここだけ切り取ると、まるでロシアの地方都市を歩いているような感覚になる。とりわけ、商店街の一角にたたずむ純喫茶の暖かい光と、ロシア語看板の相性が素晴らしかった。東京から1500km、日本の最北端でキリル文字に囲まれている……。
ちなみに「稚内のスーパーでロシアの食材を扱っている」という噂を聞き3店舗ほど巡ってみたが、今は取り扱っていないそう。セイコーマートで晩酌を買い、駅前のドーミーインで一晩を過ごした。
ー続くー
<TEXT /お雑煮>