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「林芙美子記念館」。皆さんはご存じだろうか?新宿区、東京のど真ん中にある記念館だ。
私は恥ずかしながら、林芙美子さんの名前を聞いてもピンと来ないほど記念館の存在は知らず…。「東京で手軽に京都のような、落ち着く場所があったらいいな~」と微かな期待を抱き、ネットサーフィンをしていた時に偶然発見した場所だった。
調べてみると、建物に対する林芙美子さんのこだわりが詰まった場所とのこと。小説家で実際に京都に足を運んで建築を学び、建築家に設計させた人は珍しいのではないかと思う。
そんな小説家の想いが詰まった、貴重な近代建築を楽しんでいただけたら嬉しい。
「林芙美子記念館」
東京都新宿区中井2-20-1
開演時間 / 10:00-16:00
月曜定休
林芙美子記念館について

林芙美子記念館の庭から
昭和前期の小説家である林芙美子が暮らした旧宅が林芙美子記念館として保存されている。『浮雲』や『放浪記』といった代表作で知られる林芙美子は、かなりの苦労人だったそうで、庶民を慈しむような作品を書いていたそうだ。
九州出身の彼女が上京してきたのは1922年。その後、1930年に落合に移り住み、1939年に土地を購入し、新居を建設し始めたという。
林芙美子の新居への思い入れはとても強く、建築について勉強したり、さらには設計者や大工を連れて京都の民家や材木を見に行ったそうだ。そして近代建築家の山口文象が設計したこの家は、数寄屋造りの京風を感じる特色と、林芙美子の思いが詰まったどこか懐かしい雰囲気を醸し出している。
住宅街にひっそりと佇む林芙美子記念館
林芙美子記念館は、新宿区中井の住宅街に存在する。最寄り駅は都営地下鉄大江戸線・西武新宿線「中井駅」と東西線「落合駅」。徒歩10分から15分ほど。
私は落合駅から歩いて向かう事にした。落合駅周辺は最近整備されたのか、道路も広く新しいまちという印象。広い道路を少し歩くと、右手に記念館の看板が出現し、住宅街へと導かれる。
もともとここら辺は、大正時代から昭和時代にかけて存在した「目白文化村」と呼ばれる郊外住宅地が広がっていたそうで、今もその名残として古い建築がが残っている。林芙美子記念館のついでに立ち寄ってみるのも良し。

四の坂通りが隣に伸びている
ここは京都…?林芙美子記念館の静かさ

林芙美子記念館の裏口
林芙美子記念館は、東京とは思えないくらい、京都の香りを感じる場所。
しかも、入館料は150円となんと良心的な値段…。受付の方やガイドボランティアの方が丁寧に説明をしてくださるので、建築について詳しくなくてもその魅力が伝わってくる。

林芙美子記念館入り口
入り口にしっかりと説明の看板が設置されており、見ごたえは十分ある。そして何よりも人も少なく、落ち着いた雰囲気の場所で和む。

林芙美子記念館の簡易地図
邸宅内は、外から覗く形になっており、アトリエのみ上がることができる。アトリエは画家であった夫の緑敏のためにつくられた建物だそう。
庭には飛び石や石灯篭、珍しい植物が並び、秋には紅葉が綺麗とのこと。林芙美子がこだわった邸宅から眺める庭の風景は格別だろう。

竹林が美しい
竹林に囲まれた記念館は、まるで京都のような静けさ。
時を忘れて読書でもしたい気分に駆られる。東京の喧騒から離れてプチ旅行を楽しみたい方におすすめしたい。
<TEXT/明里>