ところで、皆さんは「のらくろ」を知っているだろうか?
私は「高橋商店街」に訪れるまで聞いたことも見たことも無いキャラクターだった。
それもそのはず。「のらくろ」が流行したのが、戦時中とのことで、私のおじいさん世代なら知っているかもしれない、というレベルだ。
そんな歴史深いキャラクターである「のらくろ」が、令和の現在、どのように商店街として蘇っているのか。
のらくろと商店街の歴史
まず、のらくろがなぜこの場所・東京都江東区で商店街とコラボしているのか。
それは「のらくろ」の作者である田川水泡が少年時代を過ごしていたゆかりの地ということで、商店街全体がのらくろを前面に押しているようだ。
「のらくろ」は現代の人にはあまりにも馴染みがないので、少し紹介しておく。
昭和6年(1931年)に「少年倶楽部」という雑誌で田川水泡が連載を開始した漫画の主人公だそうだ。黒い野良犬である「のらくろ(野良犬黒吉)」が、帝国陸軍をモデルにした「猛犬聯隊(れんたい)」という犬の軍隊に入隊し、奮闘するお話。
のらくろに名前(野良犬黒吉)がついていたのも驚きだが、当時の時代背景を色濃く映す作品のようだ。さらにアニメーション化されたり、キャラクター文房具の先駆けとも言われる「のらくろ墨」やハーモニカまで発売されていたというので子どもにかなり人気があったことが窺える。
のらくろ~ド商店街の見どころ
のらくろ~ド商店街には、道に沿って色々な形をしたのらくろの看板が多数並べられている。
中には顔パネルもあり、観光客向けに整備されているのがわかる。
試しにInstagramで「#のらくろ~ド」と検索してみると、若い人の投稿も多く見られたので、インスタ映えを探している若い人にもおすすめしたい。
商店街全体としては、シャッターが閉まっているお店も多い印象ではある。しかし、今もなお現役のお店は地域の人々の拠り所になっているようだ。
商店街に溶け込む、昔ながらの風景
駄菓子屋である「トイパークまさみや」の前には昭和レトロなゲーム機とガシャポンが並んでいる。この類のゲーム機で今も現役のものに触れる機会は大変少ないのではないだろうか。
駄菓子屋では近所の子どもがお菓子を選んでいた。子どもの世界に足を踏み入れる勇気が無かった私は遠目から眺めることに。どうやら私も大人になってしまったようだ。
また、商店街には地域の人が育てていると思われる大きなサボテンや、「ミッキーマウスの木」と書かれた謎のプレートも発見した。なんだか夢があっていい。
空き缶に切り込みを入れて七夕の飾りのように見立てているのは初めて見たが、商店街のレトロな雰囲気とマッチしていて幻想的だ。
のらくろ~ド商店街ののらくろに代わる看板犬?
商店街を散策していると、のらくろに代わる看板犬?を発見した。
「髪切屋」というそのままの店名に目を惹かれた床屋。その入り口にはまるで店番をしているかのように柴犬が構えている。
のらくろを知る人は少なくなってきているが、犬が好きな人には今後も愛される街なのかもしれない。
<TEXT/明里>