浅草橋に佇む「おかず横丁」は看板建築の宝庫。忘れていた日本の食文化を想う

投稿日:4月 24, 2020 更新日:

「おかず少ないじゃん…」廃れゆく、おかず横丁の現在

鳥越 うおよね

良い匂いが漂う

商店街を歩く数人のサラリーマンが「おかず横丁なのにおかず全然少ないじゃん。」と話しているのが聞こえた。そう、ここはもうおかず横丁と言えるほど賑わっていない。たった数件で支えている状態だ。

ショッピングセンターで統一された商品を選ぶことは便利だ。しかし、便利になればなるほど私たちの生活から何かが失われていると思う。
おかず横丁のような温かみのある商店街がこの先も受け継がれることを願いたい。

インスタ映えしそうな看板

レトロな看板建築に圧倒される

少し歩いていると、商店街の建築はどれも重厚なつくりで共通点があることに気づく。
これらは「看板建築」と呼ばれる昭和初期から建設された建築スタイル。

従来、日本の商店は一階部分が二階よりも張り出した造りだった。しかし、関東大震災をきっかけに区画整理が行われ、道を有効活用できるようにと、店舗の前面が垂直に立ち上がった造りになったという。
看板建築の様式も様々あるが、モルタルや銅板、タイルなどで自由な装飾が特徴的である。

洋風な看板建築

細かい装飾にうっとり

真っ白な壁に洋風な装飾が青空にとても映える。この空間だけタイムスリップしたかのような時代錯誤を感じる。

大佐和茶舗

白い壁と水色のタイルの組み合わせが粋だ。お茶屋さんにしてはオシャレ過ぎないか…

看板建築を覆い隠すような建物もいくつか発見。リノベーションのように、古い文化を全部壊すのではなく、残しつつ新しい時代を迎えて欲しいと思う。

宮造り型銭湯・鶴の湯

鶴の湯

最後に、おかず横丁とは関係がないが、付近で見かけた素敵な銭湯をご紹介したい。
浅草橋駅からおかず横丁に行く手前、左衛門橋通りの路地に佇む「鶴の湯」

創業は昭和2年というかなりの大御所。

建物の色は綺麗な水色で塗り替えられているが、建物のつくりは当時のままであろう。千鳥破風の大屋根と唐破風の入り口が寺院の本殿を思わせることから、大正末から昭和初期にかけてよくつくられた「宮造り型」であると推測できる。

鶴の彫刻が入り口でお出迎え

鶴の彫刻は「兎毛通し(うのけとおし)」と呼ばれるもの。細やかな彫刻が昔は職人の腕の見せどころだったそうだ。

ここまで立派な銭湯は都内で残っているのも珍しいのではないだろうか。ぜひ、お近くに行った際はおかず横丁と合わせて訪れてみて欲しい。

<TEXT/明里>

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