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115系。国鉄で最大勢力を誇った中距離近郊電車だ。1963年1月に初期編成が上野口(上野駅を起点とした路線の呼称)に投入されると、2004年10月までのおよそ40年間、同区間で活躍を続けた。同車は山岳地帯でも運用できるよう、当時主力だった中空軸平行カルダンのモーターを高出力に改良しているのが特徴だ。最盛期には1900両あまりが全国を駆け回ったが、老朽化から廃車が加速。今や首都圏では全滅しており、乗れる路線もすっかり少なくなってしまった。
115系の首都圏撤退から15年。今やアルミの新造車体が同じ場所を軽やかに駆け抜け、当時の面影はない。しかし、そんな国鉄時代の息吹を堪能できる路線が首都圏の近くに未だ残っている。長野・しなの鉄道線だ。
国鉄車両のオアシス。鋼鉄車体の温もりに浸る

115系の車内。セミクロスシートが旅情を誘う
しなの鉄道線は、旧・信越本線の軽井沢ー長野間を移管した第3セクター(地方公共団体と民間企業が出資する鉄道)である。同社では発足時から、国鉄型車両をJRから譲り受け、2019年現在でも在籍する全車が115系。まさに、首都圏で唯一残された“国鉄型のオアシス”なのだ。
東京から2時間あまり、北陸新幹線・長野駅を降りて在来線に乗り換えるとJRのホームを間借りしてしなの鉄道の115系が停車していた。電車は2−6両編成。首都圏で15連で爆走していた頃を思うと哀しくもあるが、佇まいは当時のそのもの。車内に入ると、鋼鉄車体ならではの温もりある室内が旅情を誘う。ボックスシートに腰掛けて暫くすると、送風用のブロアーが唸りだした。いよいよ出発だ。
発車メロディーが鳴り終わり、甲高いエアー音とともにガラガラと扉が閉まる。シューッと息を吐き出し、電車はゆっくり動き出す。なんだろう。すごく懐かしい気分だな。古い車両と共に旅に出ると、当時の光景が鮮明に思い出されるから不思議だ。僕は今、長野にいるし、15年前の東京にも居る。