しなの鉄道の近郊型「115系」。首都圏で乗れる国鉄の名車!

投稿日:12月 12, 2019 更新日:

しなの鉄道の115系は2026年に全廃決定

坂城_169系

坂城駅に入線。保存車の169系を眺めながら、国鉄時代を偲ぶ

電車は千曲川を渡ると一層けたたましくモーターを鳴らし、加速していく。低音と中音の混ざった油臭い音に包まれて、僕はうつらうつらと夢を見る。

2004年、秋の早朝。日暮里駅で電車を待っていると、高崎・宇都宮線の上り普通列車が重厚な音を一帯に響かせ、上野駅へ向かって通り過ぎていった。朝焼けの上り日に、緑と橙色に塗られた鋼鉄車体がまばゆく、靄がかった冬空にモーターの余韻が漂って再び静寂が訪れる。上野口の何の変哲も無い日常風景だ。目を閉じると五感を通じて再び蘇ってくる。

長野駅から40分あまり、電車は徐々に速度を落とし終点・上田駅へと入線する。時速30kmでポイントを抜けると、運転室から「ジリリリリリ・キンコンキンコン」と終着を知らせるチャイムが聞こえる。座席から立ち上がり、網棚から荷物を降ろし、ドアへ向かう乗客たち。ただそれだけのことなのに、僕はタイムトラベラーのように、最後まで人の流れを見届けていた。

〜〜〜〜〜

しかし、しなの鉄道の115系も引退が近づいている。2018年6月、同社は2026年までに115系全車を新型車両に置き換えることを発表した。製造から時間が経ち故障が相次いでいることと、部品の調達が困難になりつつあるためだ。いよいよラストスパート。かつての栄光を胸に、老兵は今日も走り行く。

<TEXT/お雑煮>

-コラム
-, ,

Copyright© すごいお雑煮 , 2024 All Rights Reserved.