
明里

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電車の一日乗車券ってなんだかワクワクしないだろうか…?
「どこで降りよう。どこまで行こう…?」無敵な、魔法の切符を手に入れたような気分になる。
今回は、春休みに期間限定販売している千葉県・新京成電鉄の一日乗車券を手に入れた。
なんと三日乗り放題で1000円。三日間で全駅制覇をチャレンジすることにした。そしてただ電車を楽しむだけでなく、各駅ごとの魅力も歩いて発見するまでに次の電車に乗れないという無駄に自分を苦しめるルールを設定…どうか見守って欲しい。
新京成電鉄とさくら満開おでかけきっぷについて
「新京成電鉄」…どこを走っている電車なのか、イメージが湧きにくいと思ったため、路線図を描いてみた。千葉県の北西部、松戸、鎌ヶ谷、船橋、習志野を縦横無尽に走る線路だ。1946年に設立されてから、地域の人々の欠かせない足となっているようだ。

新京成の路線図を描いたもの
ふなっしーのイラストや、Bリーグで有名な千葉ジェッツのデザインが全体に施された車両があるなど、地域との密着度がとても強そうだ。
さくら満開おでかけきっぷは、新京成線で3月から4月の期間で販売しており、2000枚のきっぷは売り切れるほど人気だそうだ。1000円で三日間乗り放題は確かに安い…。
ローカル線は、駅名もかなり濃い。「鎌ヶ谷大仏」は本当に大仏が存在するのか…?駅名から歴史も紐解いていこうと思う。
「松戸駅」江戸時代の花街の名残と現代の風俗店

松戸駅。西口
松戸駅。新京成線のはじまりでもあり、おわりでもある。JR常磐線の乗り換えもできるため、かなり賑わっている駅だ。
西口駅前は飲食店が立ち並ぶ繁華街だが、実はかなり歴史的な遺構が残っている街だ。国の重要文化財である「旧徳川家住宅戸定邸」や、「平潟遊郭」の花街として栄えた名残を確認することができる。

平潟遊郭に残るレトロ電柱
平潟遊郭では、当時の電柱が住宅地の中にそのまま残っており、とても見ごたえがある。私は5本しか見つけられなかったが、噂によると10本確認できるとのことで、訪れた際には確認してみてはいかがだろうか。
また、水運が栄えた歴史から、江戸川の河川敷には「常夜灯」や石碑などを見ることができる。河川敷では、春であれば菜の花が一面に咲いていて綺麗。(こういうところで青春を過ごしてみたかった…!)

一面の菜の花は圧巻の景色
お昼は、駅前にあったかなり古そうな看板が目印の「カレー専門店 印度」で食べることにした。聞けば30年以上女性が1人で切り盛りしているようで、本格的なカレーを楽しむことができる。

カレー専門店 印度
一般向けカレーとインド風カレー、パキスタン風カレーとメニューが豊富。私はチキンカレーを頼むことにした。値段も600円とランチにちょうどいい。そしてこのような本格的なカレーを食す機会はなかなか無いため、美味しかった。

メニューの看板もかなり年季が入ってそう。

チキンカレー。器が別であることに最初戸惑った
松戸駅東口では、和菓子屋を発見。餅菓子製造販売と中華料理屋の「ニコニコ㐂久乃家」。自家製のおはぎやわらび餅、それ以外にも豊富な和菓子が手ごろな値段で販売されている。

和菓子が美味しい・ニコニコ㐂久乃家
隣のラーメン屋に並ぶ行列との対比になんとも言えない気持ちになったが、想像以上に和菓子が美味しかった。やはり老舗ははずれが無い。
そして、風俗街でよく見かける「角海老」。松戸にも角海老の姿を捉えることができた。しかも、神社の隣という立地が怪しい関係性を匂わせている。

神社の隣の角海老
「上本郷駅(かみほんごう)」駅前の商店と住宅街

上本郷駅ビルの看板
改札を出ると「上本郷駅駅ビル」の文字が見える。青いネオンに照らされた駅ビルは地方都市によく見られる雰囲気。
駅を降りると、駅前に商店がちらほらとある。各駅にひとつは和菓子屋があるのか、場所によって個性が現れるので楽しい。ここでは「松戸せんべい」なるものを発見した。
また、道路を挟んだ反対側には 「佐藤精肉店」。「BEEF」の文字が遠くからでもよくわかるかなり古そうな文字。

佐藤精肉店。ビーフ以外にも色々と販売しているようだ
同じ通りでみつけて、レモンとやきとりという組み合わせは、どういうお店なのか想像力を掻き立てる。レモン色がとても鮮やか。

レモンとやきとり…?
辺りを散策してみたが、地域の方の憩いの場である喫茶店が数件見られる以外は、静かな住宅街のようだ。
「松戸新田」スーパーの前に佇む立派な道標

松戸新田駅
松戸新田は、新田から想像できるように、江戸時代の新田開発の歴史がそのまま地名として残っている。といっても駅前は開発され、スーパー「いなげや」があるなど、当時の面影は残っていない。
駅に引き返そうと思った矢先に、石碑を発見した。いなげやの交差点にどっしりと構えた2つの石碑。

いなげやの交差点にあった石碑
よく見てみると、「庚申塔」と「青面金剛」と書かれている。側面には、「松戸道」と「成田道」の文字がうっすらと確認できたことから、道標の役割があったのかもしれない。指している方向が現在とは少し違うように思うが、石碑の場所や向きが変更されていることはよくあることだ。それにしても、欠けずに綺麗に保存されているのは感慨深い。
「みのり台」松戸ヘルスランド一帯の酒場

モザイク画に目を引かれる
みのり台駅を降りると、まず飛び込んできたのはカラフルなモザイクの壁画である。大縄跳びをしている子どもの画のようだ。時代背景がわかる作品だ。
少し歩くと「松戸ヘルスランド」と書かれた大きな看板が視界に入ってくる。

松戸ヘルスランドの大きな看板
「ヘルスランド」という言葉に期待を抱きながらその場所へと向かうと、その一帯が銭湯やスナックが並ぶ大人の路地だった。
ヘルスランドは移転してしまったようだが、「PURE」という銭湯は営業しており、昼間から銭湯を楽しむ近所の方と遭遇した。夜はスナックに明りがつくのだろうか。

スナックが並ぶ路地
「八柱」全長3キロ桜のトンネルを体感

八柱駅
八柱はJR武蔵野線への乗り換えができるため、通勤や通学者の人で賑わっている。駅前にも大きなロータリーがあり、活気あふれる街という印象。
自転車置き場に描かれたコアラのイラストにほっこりする。

自転車置き場のコアラが笑っている
また、「常盤平さくら通り」ではその名の通り桜のトンネルを体験できる。その全長は3キロほどで、常盤平、五香まで続くかなり長いトンネルだ。満開の桜の中、ドライブできたら楽しそう。

「常盤平さくら通り」
「常盤平」レトロなときわ平ボーリングセンター

駅前の商店街
常盤平に着くころには日が落ちてしまった。駅前には昔ながらの商店街が広がっているが、ひと際目を引いた建物がある。「ときわ平ボーリングセンター」だ。

ときわ平ボーリングセンター
いまどき、チェーン店以外の巨大なボーリングセンターは珍しいのではないかと思う。ゲームセンターも併用した施設で、2階がボーリング場のようだ。
本日はここまで。各駅の魅力を探しながらの旅だったため、一日で回れる駅も限られている。次からはペースアップして回ることにしよう。
<TEXT/明里>