ステマこと、ステルスマーケティング。企業から金銭を受け取っていることを隠して宣伝活動を行うことを指す。
11月には「血液クレンジング」という医学的根拠のない医療法を芸能人がinstagramに投稿していたことを巡り炎上、インフルエンサーのはあちゅう氏がBuzzFeedで釈明インタビューを受けるまで騒動が発展した。また、先日12月3日19時ごろには『アナと雪の女王2』を好意的にレビューした漫画が複数のTwitterアカウントで一斉にツイートされ、誹謗中傷の的になっている。
いずれも、企業が人気のあるアカウントにツイートを依頼し、報酬を渡していると疑われたのがきっかけだ。しかしこれらによらず、ステマは昔から存在していたはずである。どうしてここ最近になって、SNSで過激に炎上するようになったのだろうか。
「ステマ」が広まったきっかけ
ステマという言葉が広まったきっかけは2012年。当時世間を騒がした「ペニーオークション詐欺事件」である。
ペニーオークションとは、入札単位の決まったオークションのことだ。例えば1円スタートで入札単位が15円の場合、商品は15円→30円→45円と、15円ごとに入札額が上がっていく。ただし入札ごとに手数料がかかるため、参加者の少ない商品や、入札数の多い商品などは比較的安く落札できる可能性がある。一件画期的なシステムのようにみえるが、2012年12月7日、ペニーオークションサイト「ワールドオークション」がBOTを使用して自動入札を行なっていたとして詐欺容疑で摘発。するとたちまち、Amebaブログなどでペニーオークションのレビューを書いていた芸能人のステマ疑惑が急浮上し、ほしのあきやピース綾部など、名だたる芸能人らが詐欺に関与したとして、謝罪に追い込まれる一大スキャンダルとなった。
この騒動で特徴的だったのは、“ソーシャルメディア”でステマ行われた点だ。従来、ステマは広告代理店による放送権の買取や雑誌記事の掲載など、企業発信のものが大半であった。これに対してペニオクのステマは、芸能人がユーザーに直接宣伝する個人発信のものである。ソーシャルメディアは芸能人・一般人の距離感が近く・信頼関係で築かれているため、この騒動は当時、センセーショナルに報じられた。
ネットユーザーがステマに敏感になり始めたのは、おそらくこの時期からだ。「ステマ=ソーシャルメディア・有名人」というネガティブイメージが植え付けられたのだろう。