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「n級品高品質ブランドコピー激安販売」
LINEなどのSNSを使っていると突然、このようなメッセージが届いた経験はないだろうか。もちろんここで売られているグッチやシャネル、ロレックスなどのアイテムは「偽ブランド品」「コピーブランド」などと言われる偽物だ。
偽ブランド品は、中国経済の発展とともにして現れた。当時は夕方のニュース番組で、粗雑な作りや真贋のコツがゴシップ的に取り上げられていた記憶がある。
しかし技術発展とともに徐々にクオリティが上昇し、近年では「スーパーコピー」などと呼ばれる素人目では判別のつかない精巧な偽物も出回るようになってきたようだ。
しかし、そんなウワサを聞くとスーパーコピーが果たしてどれほど本物に近いのか、気になるではないか。
そこで今回、筆者は中国・北京にある“偽ブランド専門”のショッピングセンター「秀水街(シルクマーケット)」に足を運び、スーパーコピーを手に取ってみた。
スーパーコピーの聖地、北京・秀水街に行ってみた

地下鉄1号線「永安里」駅から直結している
秀水街は2005年に秀水市場の建て替えに伴って竣工した。建築面積は28000平方メートルで売り場個数は1500あまり、北京でも屈指の規模を誇る総合ショッピングセンターだ。天安門広場から東へ3kmほど、北京地下鉄1号線「永安里」駅の改札を抜けA出口へ歩けばすぐに案内板が現れる。駅と地下通路で直結しているため、アクセスは良好だ。

フロアごとに取扱商品のジャンルが分かれている
秀水街ではアイテムのジャンルによってフロアが分かれる。このうちスーパーコピーを扱うのは地下1階から3階までで、4階と5階は"秀水"の名の通りシルクなどの伝統工芸品、6階はフードコートのフロアになっているようだ。
高級ブティックさながらの店内にビックリ

ハイブランド品がショーケースにずらりと並ぶ。
先ずは地下一階のバッグ・シューズフロアを歩いてみる。通路にはさながら高級ブティックのようなハイブランド(?)専門店が並び、なかなか圧巻だ。これらが果たして本当にブランド品であるかはさておき、店舗のショーケースにはルイヴィトン・エルメス・プラダなどのハイブランド品が整然と飾られていた。しかし、あいにく筆者はレディースバッグに詳しくないためこれらを真贋することはできない。

セレクト系スニーカーショップ。もちろん全て偽物
同じフロアにはシューズ専門店が並ぶ通路もある。その中でひときわ大きく展開していたスニーカーショップに入ってみた。店内はセレクトショップのような雰囲気で、NIKE・Adidas・コンバースなどのブランドがずらりと並ぶ。イージーブーストやエアマックスなどの人気アイテムも、圧巻のバリエーションだ。しかし、もちろんこれらは全て偽物。
「Hello、ニーハオ、こんにちは」
角刈りの店員が声をかけてきたので、何点か手に取って見せてもらう事にした。
先ずはイージーブースト350。全体的な雰囲気は捉えているが、素材の輪郭はぼやけてアウトソールは野暮ったい。何より特徴的なサイドラインの刺繍が荒っぽいのが悲しい。次にスタンスミス。こちらはレザーの質感で一発退場。柔らかくふやけたフェイクレザーで、ベロのロゴも塗装がはみ出ている。
偽物とわかりずらいモデルもあった。コンバースとVANSのキャンバススニーカーだ。これらはシンプルなデザインで価格帯が低く、使われるのはキャンバス地とスエードなどの王道生地。チャックテイラーCT70はヒールパッチやトゥで偽物の判別がついたが、オールスターやオールドスクールなどの王道モデルは真贋が難しい。強いていえば少しソールが厚ぼったく、アイレットが雑でペラペラに感じたくらいか。
一応値段を聞いてみると「イージーブーストは6000元、スタンスミスは4000元、オールドスクールは3500元(1元=約1.6円)」とのこと。流石にぼったくりだ。うまく値切れば半額以下にはなるらしいが……。
高級腕時計店(?)で、ロレックスの押し売りに遭う

ショーケースに並べられた高級腕時計たち
次に向かったのは腕時計のフロア。こちらも中野ブロードウェイを思わせるなかなかの佇まいだ。各店舗のショーケースには高級腕時計(?)がずらりと並んでいる。その中でもひときわ高級感がある店舗に入ってみた。店内には若い女性スタッフが2名と男性スタッフが1名。
店内のショーケースには店頭をはるかに上回る腕時計が置いてある。ロレックスやオメガ、IWCなどの王道ブランドから、オーデマピゲ・パテックフィリップなどのハイブランド、「機械式腕時計の異端児」と呼ばれるリシャールミルまで扱っているから驚きだ。ちなみに腕時計はスーパーコピーの中でもとりわけ栄えているジャンルで、コピー品を専門にした「noob」「JF」などというブランドも存在している。
今回はROLEX・サブマリーナ(?)を見せてもらった。
先ずは一本目。ダイアルに書かれたROLEXの「R」がやけに大きく、文字盤だけで一発で偽物とわかる。これではロレックスではなく、ロ・レックスだ。わざわざアクセントつけて主張しないでも……「不要(いらないよ)」と引き下がろうとしたら、「チョットマッテ、チョットマッテ」と女性スタッフが棚を開き、ROLEXの出荷用のプラケースに入ったもう一本のサブマリーナを取り出してきた。
こちらは実際に手に取ってみると一本目のものより精巧に作られており、ダイアルの表記も綺麗に印刷されている。ずっしりとした質感もあった。一方でプラチナコーティングには透明感がなくベゼルの表記は薄暗い。ブレスレットに関してはロレックスのクラウンマークが中心からズレており、家電量販店や腕時計店で眺めたことしかない筆者がみても、偽物のオーラがムンムン漂っている。スーパーコピーとはいえど、結局のところ偽物は偽物でしかないのだな。
ちなみに聞けばそのお値段、なんと35000元。思わず跳ね上がった。5万円以上も払って偽物を手に入れる度胸などない、そう思って立ち去ろうとしたらなんと入り口でスタッフ3人に囲まれてしまった。「おにさん、チョットマッテ、いくら?30000元、ダメ?25000元……」腕を引っ張り合い、電卓を押し付けてくるスタッフたち。まさかのロレックスの押し売りである。なんとか腕を振りほどき、秀水街を走り去って後にする情けない筆者であった……。

フードコートで食べたスペアリブ定食は絶品だった。これだけが唯一の本物
ちなみに、スーパーコピーを偽物と知って日本に持ち込むと商標権侵害にあたるため、くれぐれも気になる方は社会見学として訪問されたい。
<TEXT/お雑煮>