カンボジア・プノンペンでハッピーピザを食べたら、トリップした話【2020年】

投稿日:2月 22, 2022 更新日:

2020年1月某日、僕はカンボジア・プノンペンにいた。何を隠そう、カンボジアで「ハッピーピザ」を食べるためだ。

ハッピーピザ、すなわち“ハッピーフレーバー”……マリファナ入りのピザ。これを食べると、老若男女、あらゆる人々が幸せになれる、魔法のピザ。食用目的での大麻使用が合法なカンボジアは、最も大麻体験に近い国の一つだ。空港を降り立った僕はドミトリーにチェックインするや、すぐさま「ピザ屋」へと足を運んだのであった。

前回はこちら

王宮近くのメコン川沿いにピザ屋がある

はじめに
この記事は全て架空の食材を題材としたフィクションです。
文章内に登場する国名・地域名・店舗などは一切関係ありません。
ならびに、大麻取締法に違反する行為を教唆や扇動、ほう助、示唆する内容・意図ではないことをここに明記いたします。
(文章内に登場するピザは、すでに多くの方が言われている通り「普通のピザ」です)
国内海外問わず、薬物を摂取することは違法です。法律を理解し、必ず遵守して頂くようお願いします。
(2022/02/22 管理人)

ハッピーピザ「Get High」

王宮・シルバーパゴダ

王宮・シルバーパゴダの近く、メコン川沿いに立ち並ぶ3件の「ピザ屋」。そのうちの1件に入りピザのメニューを眺めると、(Extra Happy $3,Very Happy $4,Get High $5)という見慣れない表記がある。

僕はデカンタのビールと、MサイズのピザにGet Highを加えてオーダー。ビールを飲みながら15分ほど待つと、ようやく噂のハッピーピザがやってきた。

粉っぽい食材が「ハッピーフレーバー」だ

ピザはこんがりと焼かれていて、なんとも美味しそう。しかし、その見た目は普通のピザと異なっていた。たっぷりと乗ったベーコンと……緑色の、ほうれん草をペーストにしたような食材がふんだんに乗っている。そう、これがハッピーフレーバーなのである。

試しにピザの表面からハッピーフレーバーだけをつまみ取り、匂いを嗅いでみる。

うーん、湿気たお茶っぱのような香り。淹れ終わった緑茶パックってこんな匂いだった気がする。そのまま食べてみると……ゴワゴワとした口当たり。野菜のような風味もなく、茹でた雑草をそのまま食べている感じ。単体で食べて美味しいものではない。

チーズと生地の間にもぎっしりハッピーフレーバーが

続いて、ピザのスライスを手にとって食べてみる。これはさすがに旨い。特筆すべき点のない、ただの美味しいピザである。焼きたてのピザ生地とベーコン・チーズの組み合わせが美味くないわけがない。ただひとつ言うなれば、ハッピーフレーバーが邪魔だ。とにかく口の中でゴワゴワ・サラサラとした食感がうるさい。しかし、今日に限ってはこいつが主役なのだ。黙ってビールで流し込む。

順調に食べ進めるが……

ビールを流しながら順調にピザを食べ進める

昼過ぎのメコン川沿いを眺めながら、黙々と食べ進める。軒下のテラス席では、白人観光客がビールをのみながら背もたれにどっしりとのしかかり、タバコをふかしている。カラッとした心地の良い陽気である。

さて肝心のハッピーフレーバーの効果だが、ピザも2/3ほど平らげたものの一向に変化は感じない。別にすこぶる楽しくもないし、悲しくもない。ただ、デカンタのビールはほぼほぼ空き、酒の酔いは回ってきた。僕は追加でグラスビールをオーダー。残りの1/3を時間をかけて味わうことにした。

結局、1時間ほどかけてゆっくりピザを平らげたが、最後の最後まで普通のピザだった。「しまった、やられた」と僕は思った。あのハッピーフレーバーなるものも、本当にお茶っ葉だったのではないか。Get Highなんて言って、5ドルもはらってピザに茶葉をたっぷり盛ってもらったのだ。畜生。

すっかり騙された気分になって、仕方なく会計を済まし店を出た。店の前ではヘルメットを被った男性が、「ヘイ!マリワナ?」などと手招きしてくる。どうやら「葉っぱを売ってやるから来い」と言っているようである。どうせ袋いっぱいの茶葉を渡されるのだろう、こちらから願い下げだ。

あらかじめGrabで配車していたトゥクトゥクに乗り込み、ドミトリーへ戻る。まあ良く考えれば、ピザは美味かったしビールもたんまり飲んだ。これだけ食べても1500円ちょっとだ。良心的なぼったくりじゃないか。

ついにトリップが始まる……

帰路、トゥクトゥクに乗ってドミトリーへ

トゥクトゥクは王宮を抜けてプノンペンの市街地に入っていく。その時だった。自分の皮膚がムズムズと疼きだしたのだ。日差しを受けて、汗腺の1つ1つからピュッピュッと汗が吹き出てくるのを感じる。手元を見るが、じとっと汗ばんでいるくらいだ。触覚が冴え始めたのだ。

すると間も無く、雑踏がやたらはっきりと聞こえるようになる。音がしっかりと聞こえる、というよりも、トゥクトゥクのエンジンの音、タイヤが地面に擦れる音、人々の雑踏、葉っぱのそよぐ音……音の一つ一つがそれぞれ切り離されて聞こえる。立体感とでも言うのだろうか。

今まで感じたことのない、全身が研ぎ澄まされた感覚。どうやら、トゥクトゥクに乗っている間に効き始めたようである。まるでワープしているかのようだ。突然はじまるでもなく、グラデーションのようにじんわりとやってきた。のちに知った話だが、“エディボー”は効き目が遅く、およそ1-2時間ほど経ってから効果が現れるようである。


ドミトリーに到着。足がおぼつかない

僕は意識を持って行かれないように、眼球に全神経を集中させた。必死で今自分がどこを走っているかを確認する。ドミトリーへ着き、トゥクトゥクを降りると、地面がグラッと揺れた。足が鉛のように重い。平衡感覚を失ってそのまま倒れそうになる。次は部屋に戻れるように足元に神経を切り替える。階段を、手すりを掴みながら1歩ずつ確かめるように昇る。2階に上がると、上半身の重みに耐えられず前のめりに通路を抜け、ようやく自分の部屋に戻った。

倒れ込むようにベッドに横になると、クッションがギュッと包み込み、ゆっくりと沈み込んでいくのを感じる。映画『トレインスポッティング』でマーク・レントンが床にぶっ倒れた時の描写そのものだ。

いよいよ始まってしまったのだ。人生で初めて経験する“トリップ”である……。

〜つづく〜

<TEXT/匿名ユーザー>

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