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グルメ大国、台湾。「牛肉麺(ニューローメン)」や「魯肉飯(ルーローファン)」などの伝統料理から、タピオカや豆花(トーファ)などのスイーツまで、食べ歩いても食べ歩ききれない豊富な絶品グルメの数々……。台湾料理は素朴な味付けで、日本人の味覚にも近いと言われているそう。
そんな数多くの料理の中、あらゆる旅行客に「台湾でこれを食べないと勿体ない」と言わしめる台湾グルメの一つが、便當(=駅弁)である。
暖かい容器にこんもり盛られた白米、芯まで染みたスペアリブ、温野菜。なんとも想像しただけでもヨダレが出そうじゃないか。
実は、台湾は日本と並ぶ有数の駅弁大国だ。以前高雄鉄道博物館の記事でも触れたのだが、日本統治時代に物資輸送のために鉄道が急発展した背景がある。駅弁文化も同じくして日本から持ち込まれ、1908年に南北縦貫線が開通した時には既に駅弁が販売されていたのだとか。長距離を移動する鉄道員や旅客にとって、駅弁は欠かせない存在だったようだ。
そんな台湾駅弁の中でも有数の知名度を誇るのが、阿里山森林鉄道・奮起湖駅の「奮起湖弁当」である。
標高1400mで駅弁を売る理由

奮起湖駅一帯には駅弁屋が数多く並ぶ
奮起湖駅は標高1403m、阿里山の中腹に位置する。山奥を登っていくと突然現れる街並みに驚くが、ここで蒸気機関車の燃料補充などで停車時間をとったため森林鉄道の拠点として栄えたのだそう。その稜線にそびえ立つ景色からは「南台湾の九份」などとも言われている。
かつて鉄道がヒノキなど木材輸送で活躍していた頃、朝に市街地を出発した車両は昼過ぎに奮起湖へ着くためランチに駅弁が欠かせなかった。1982年に阿里山公路が開通してからは物資輸送をトラックに譲りすっかり観光地となった同駅だが、今なお名物として駅弁屋が点在する。
奮起湖名物の駅弁。そのお味は

店内で食べる場合はスープも飲み放題
今回食べるのは、登山食堂として弁当を提供していた老舗・奮起湖大飯店の「戰斧軟焼肉・燜焼烤雞腿(スペアリブ&鶏モモ)弁当」(180台湾ドル)。
店内で食べる場合には、当時を再現したアルミ製の弁当箱に入った弁当を味わうことができる。森林鉄道のロゴマークがまた旅情を誘うではないか。さて、早速蓋を開けると……。

戰斧軟焼肉・燜焼烤雞腿弁当(180台湾ドル)
ふわっと溢れるタレの香りに包まれて、キラキラと輝いたスペアリブが姿を現した。一見しただけで美味の予感しかしない。早速スペアリブを頬張ると……しっかり締まった肉味から噛むほど旨味が溢れる。醤油の甘みある優しい味付けはどことなく日本的で、この風味を頼りに一気に白米をかきこむ。米は台湾の名産地、台東・関山産のものを使っているそう。
そしてこの煮卵と温野菜よ。意外と盲点だが、ここの煮卵は間違いなく台湾の駅弁で一番だ。甘いタレと黄身のクリーミーさが絶品。温野菜も芯があって旨味十分。
台湾駅弁を複数食べ歩いてみた筆者だが奮起湖弁当ほどバランスのとれた駅弁は、台湾はもちろん日本でもそうそう味わえない。現地では「沒吃過奮起湖便當,彷彿沒到過阿里山(奮起湖弁当を食べないことには阿里山へ行ったことにならない)」とも言われるほど。
奮起湖へは嘉義市街地から路線バスで2時間・鉄道で2時間半近くかかるが、この駅弁のために訪れても決して損はしないだろう。
<TEXT/お雑煮>