小山駅の立ち食い「きそば」。中太麺と甘出汁のハーモニーに箸がすすむ

投稿日:2月 25, 2020 更新日:

小山駅。上野口からやってきた宇都宮線の近郊列車を始め、茨城方面からの水戸線、上越・東北・北海道新幹線などが乗り入れる、栃木県有数のジャンクション駅ともいえよう。

そんな小山駅のホームには、古くから旅人たちに愛された名物立ち食いそばがある。それがこちら、宇都宮線上り11・12番線ホームの「きそば」だ。

戦後から受け継がれる、小山駅の味

きそば_外見

宇都宮線上り11・12番線ホームの「きそば」

小山駅の「きそば」の創業は長く、第二次世界大戦の終戦後まもないという。多い時には両毛線ホーム(小山3号そば)・宇都宮線下り線ホームと併せて3店舗を展開していたが、現在展開しているのはこの上り線ホーム(小山10号そば)1店舗のみとなっている。

両毛線ホームの店舗は、新海誠監督のアニメーション映画「秒速5センチメートル」で主人公が食べたことでも有名だった。すでにこの店舗は撤去されたが、現在営業している店舗でも主人公が食べたそばと同じ味を楽しむことができる。

今回訪問したのは平日の昼時を少し回った頃だったが、出張と思しきサラリーマンや旅行客が入れ替わり立ち替わり、大盛況の様子であった。

鶏皮の旨煮そばを食す

きそば_そば

鶏皮の旨煮そば(450円)

小山駅の「きそば」の特徴といえば、期間限定メニュー。夏には「岩下の新生姜と鯛出汁つゆのにゅうめん」と「生そうめんの冷やし麺」、冬には「鶏皮の旨煮そば」が用意されており、季節に合わせた味を楽しむことができる。

今回は折角なので、「鶏皮の旨煮そば」(450円)を注文してみた。

券売機で食券を購入し、厨房のおばさんに手渡す。カウンターに着いて1分ほど、おお……黒々とした蕎麦つゆに、見た目からもわかる中太麺。そばというよりか、ラーメンをも感じるボリューミーなたたずまいだ。

きそば_麺

コシのある特徴的な中太麺

いざ実食。箸で蕎麦を持ち上げると、しっかりと重量感がある。一気にすすりたくなるではないか……。

ズズッ、ズズッ、ズズッ……と頬張ると、歯ごたえのある麺に、甘く濃厚なつゆがしっかりと絡みついてきた。恐るべし味のバランス感だ。つゆに使われている醤油は熊谷のきんまる星醤油。そして、この中太麺は、中沢製麺の田舎風破天荒生蕎麦。地元・栃木の醤油メーカーと老舗製麺所、そして「きそば」が代々受け継いできたノウハウに裏打ちされた、正真正銘のご当地・立ち食いそばである。

本当に美味しい駅そばは、“記憶に残る駅そば”なのだ

きそば_鶏皮

旨煮から味が染み込んで美味

そしてこの蕎麦の決め手となるのが何と言っても、鶏皮の旨煮である。旨煮から染み出した鶏の味は、瞬く間にかけ蕎麦いっぱいに広がり、軽く混ぜれば蕎麦が一気にオイリーになる。しかも鶏のうま味が、出汁感を損なうことなく後追いでやってくるものだから、もうたまらない。とにかく優しい味わいだ。もちろん旨煮を単品でいただいても絶品。

きそば_着丼

1店舗に減ったとはいえ、この旅情と味を楽しめるのは幸せだ

ここまでのポテンシャルを備えた一杯でありながら、「きそば」が目指しているのはあくまで「安い立ち食いそばらしいそば」とのこと。首都圏の駅そば界隈では、高価な機器を導入して“高級感ある蕎麦”を目指しているというのに……。でも、そうして味わえる蕎麦の味は、都内の立ち食い蕎麦のどの店舗よりも深みがあって、優しさに溢れている。

「本当に美味しい駅そばは、“記憶に残る駅そば”なのだ」

なんとなく、そんな言葉が頭に浮かんだのであった。

<TEXT/お雑煮>

※参考資料:きそば新聞(有限会社 中沢製麺)

-グルメ
-, , , , ,

Copyright© すごいお雑煮 , 2022 All Rights Reserved.