渋谷の台湾料理「麗郷」で本格派・麻婆豆腐を食べる

投稿日:12月 29, 2019 更新日:

麗郷_アイキャッチ

 人々の欲望がスクランブルする街、渋谷。僕はこの"冷凍都市"をさまよう時、常に頭をよぎる煩悩がある。

「中華が食いてえ」

 僕は中華料理に、やさぐれたものを感じている。自分の欲望に正直に……しかしまた、気だるく美しい様を感じている。おそらく、くるりの「HOW TO GO」という曲のMVで、メンバーが中華料理を囲んでいる絵面が忘れられないのだろう。そんな中華のイメージを地でいく街がここ、渋谷なのである。

 そういえば心なしか、渋谷にはやたらと中華料理店が多い。ソープランド角海老の一階・味の中華「兆楽」に宮益坂の「天厨菜館」、そして今回ご紹介する台湾料理「麗郷」だ。

台湾建築の老舗料理店。その店内は

麗郷_外見

台湾料理「麗郷」。古典的な台湾建築が印象的だ

「麗郷」は道玄坂と文化村通りを結ぶ道玄坂小路に構えた老舗・台湾料理店。なんとその歴史は渋谷で60年以上に及ぶ。土地柄か、脚本家や芸能人など、芸能関係者も足を運ぶという。ラブホ街の最果てにある中華料理店というのがまたなんとも愛しい。

 先ず記すべきは、その特徴的な店構えだ。小路とラブホ街の分岐点に立つ柔らかい曲線を描いたレンガ作りのV字物件、こちらは古典的な台湾建築を踏襲しているそうで、その曲線美とは裏腹に、他を寄せ付けない重厚さもある。

 しかし店内に入るとそんな雰囲気とは一転、店内にドッと笑い声が渦巻く。トーンの高いサラリーマンの間を縫って、ヒソヒソと酒を交わす素性の知れない人々。カウンターに面した厨房では熟練した台湾人の料理人たちが黙々とフライパンを煽っている。まさに貪欲な空間。どうやらこの店は渋谷で60年間生き延び、また渋谷に生かされた、欲望の巣窟でもあるようだ。

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