北京-成都、K1363便。憧れの寝台列車「緑皮車」に乗る【中国鉄道紀行③・2020年】

投稿日:1月 30, 2020 更新日:

憧れの客車寝台に想いを馳せて……

成都_乗車

大きい荷物は通路側の荷物棚に収納する

さあ、いよいよ乗車です。指定された号車の入り口で車掌に切符を見せて車内へと入り、押し合いながら自分の席を探します。今回乗るのは5号車16列目の中段、通路の上部には荷物棚があるため発車前にスーツケースなど大きい荷物は収納しておきましょう。

車内は高速寝台車とはうって変わりガヤガヤとした様子。三段式寝台にはカーテンがなくプライバシーとは無縁ですが、何となく車内に一体感を感じます。地方都市へ向かう車両ならでは雰囲気といいましょうか。

春節2週間前ということもあるのか、家族連れや夫婦の乗客が多くみられます。既に下段の座席では乗客同士が仲良くなって盛り上がっている姿もちらほら。僕も中国語が話せればなあ……。

肝心のベッドは昨晩の高速寝台車と異なり、必要最小限といった印象。マットレスも少し硬めで、昨日の高速寝台車に備え付けられていたUSBコンセントなどもありません。窓とベッドの間には少し隙間があるので、窓際に小物を置くと下のベッドに落下してしまうかも(自分は充電器とひまわりの種を落としました)。

成都_出発

22時30分。K1363便は成都へ向かって動き出しました

22時30分、電車は成都へ向かって動き出しました。先ず、新郷駅(翌4:42)までの区間は主要幹線の京広線(北京-広州)を下ります。消灯までは暫くあるので、通路の簡易椅子に腰掛けて一杯としましょう。宴は駅前のスーパーで調達したバドワイザーとひまわりの種。バドの爽やかな口当たりにひまわりの種のフレーバーがベストマッチで、どうしてなかなか、これが上手い。

まさか人生で初めての寝台列車体験が中国の寝台列車になるとは……10年前の自分に教えたらどんな顔するだろうか。

僕がまだ中学生-高校生の頃、ちょうど日本の寝台列車は引退のピークを迎えていました。人気のブルートレイン「あさかぜ」「はやぶさ」を始め、急行「銀河」、東北方面の「はくつる」。そしてついには「北斗星」「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」などの高級寝台列車までもが廃止に。しかしそんななか、寝台車の切符を手に入れるような資金力もない僕はただカメラを握って東京駅・上野駅に通いつめ、憧れだった夜行列車が目の前で消えていくのをファインダー越しに見送ることしかできなかったのです。

「いつかはお金を溜めてあの電車で遠くへ行こう」。そんな“寝台列車ロストジェネレーション”の叶わぬ想いと、ここ中国でようやく決別できた気がしました。

中国鉄道紀行④へつづく

<TEXT/お雑煮>

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