台北駅のハンバーガーと新幹線。【3泊4日、ぼくの台湾・弾丸放浪記(2)】

投稿日:5月 5, 2020 更新日:

前回はこちら:3泊4日、ぼくの台湾・弾丸放浪記(1)

8時30分、「金年華三温暖」の寝起きは最悪なものだった。

サウナ施設に併設されている休憩室は、上野・山谷の簡易宿泊所を思わせる木製二段ベッド。蚊が住み着いていて、目を閉じてしばらくすれば甲高い羽音が耳元でウロつく。かといって垢臭いブランケットを頭から被れば、足が無防備になる。

結局ロビーの一人がけソファに腰掛け、テーブルに足を伸ばして仮眠を取ることにした。しかしこれが30分もすれば、尻と首が固まってジンジン痛む。それから数分おきに体勢を変えてみるも、眠れるようなものではない。仕方ないので目を閉じて朝のニュースを聞き流しながら、起きているとも寝ているとも取れない曖昧な夜を過ごした。

これから何処へ行こうか

エントランスを出るとすっかり夜は明け、空は青く晴れている。昨晩は気が付かなかったが、一帯の建物はどれもくたびれて様々な顔を持っていた。窓に鉄格子がはめ込まれたもの、パステルカラーに塗られたもの、屋上にトタン小屋を持つものなど。そしてそれぞれの建物からは、路上に手を伸ばすように看板が散らばっている。まさに思い描いた台湾の景色そのものだ。

「悠足体」「投弊式自助洗衣坊」「天津大飯店」「鋼琴酒店」……。看板に書かれた漢字が何を指しているのか、なんとなく想像つくから面白い。

さて、今回の旅は一切予定を決めていない。どうしようかと天気予報を見てみると、台北は午前中は快晴だが午後から雨。そこから数日間は雷雨だという。一方で台南は快晴が続くようだ。洪申豪のライブは滞在3日目の夜。ならばそれまで南で過ごしても良いのでは、という気分になった。

早速、市民大道へ出て台北駅へと向かう。ここ台北を起点とする「台湾新幹線」こと高鐵は、南西部最大の都市・高雄まで結んでいる。有人改札で尋ねると、左営という駅が終点らしいので、そこまでの自由席券をおさえた。

高鐵は20−30分おきに発着しているため乗り過ごす心配はない。駅前の喫煙所で一服してから、朝食を取ることにした。

台北駅前のハンバーガー

台北_ハンバーガー

時刻は午前9時過ぎ。すでに駅前の繁華街では食堂がポツポツと開いて、軒先で惣菜や弁当なんかを売っている。そこに作業着を来たドカタのような人たちが集まり、店員に100元札を押し付けセカセカと買い去っていく。どうやら食堂の中でも美味い不味いがはっきりしているようで、繁盛している店は絶え間なく人だかりができていた。繁華街をぐるっと回ってから、一番賑わっている店に入ることにした。

店内は厨房とも食堂とも取れる雰囲気で、真っ白な蛍光灯と正方形のタイルで覆われていた。木製のテーブルが数脚と、背もたれのないプラスチック製の椅子が無造作に並んでいる。どうやらこの時間はテイクアウトがメインのようで、店内で食事をとっている人はまばらだ。

さて、何を食べようかとメニューを取るがまったく解読できない。街頭の看板で油断していたが、料理名となると見知らぬ漢字ばかりで想像がつかないのだ。

そうこうしているうちに店員がやってくる。何を頼めば良いのかわからず慌てていると、メニューの左上の枠を指差してきた。

「モーニング」

なるほど、この枠の中が朝食なのか。直感で「牛肉漢堡餐」と書かれたメニューを注文した。

「ホンチャー?」

「あー、イエス、ホンチャー」

わからない。何を言っているのかさっぱりわからないが、「ホンチャー」が牛肉漢堡餐に適している何かであることは理解できた。ひとまず店員を信じることにした。オーダーを通すと、直ぐに厨房から料理が運ばれてくる。大きめの紙カップとハンバーガーだ。なるほど、これはハンバーガーセットだったのか!

思えば台湾上陸後、初めての食事である。早速ハンバーガーにかぶり付くと、ふわふわのバンズに焼きたての卵焼き、肉感のあるパティが乗っかってたまらない。塩っけの少ないシンプルな味付けで、噛むほどに食材が主張してくる。チェーン店では味わえない、まさに手作りの味。

ウキウキとしながら、紙コップに入った飲料をすすると……アツっ。なんだこれは……紅茶じゃないか!

どうやら、「ホンチャー」とは紅茶のことらしい。例のごとく、満遍なく甘ったるい味付けだ。僕はまたしても眉をひそめた。

高鐵で南へ向かう

台北_新幹線

台北駅に戻り、高鐵で左営駅へ向かうことにした。待合の売店でオリオンビールを調達する。車両は日本の700系新幹線をベースにしたもので、外装や内装なんかもそっくりそのまま。慣れ親しんだ座席に腰掛ける。

電車は都心を抜けると、東海道新幹線の岐阜羽島あたりを思わせる平坦な風景が続いていく。淡々と田畑が並び、気まぐれにトンネルを抜けてはまた田畑が続く、そんな具合だ。ただ日本と異なるのが、時おり車窓に立派な寺院とアヒル養殖場が現れる。

「北京ダックってもしかして、台湾産なのかしら?」そんなことを思いながらビールをちびちびとやる。ほろ酔いの朝である。

つづく

<TEXT/お雑煮>

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