退勤後に深夜便で台北へ。【3泊4日、ぼくの台湾・弾丸放浪記(1)】

投稿日:5月 2, 2020 更新日:

職場の喫煙所でタバコを吸いながら、ふと台湾の気分になった。

そのままスマホの画面を立ち上げると、2本目をくわえながら、月末に出発する格安航空券を予約していた。

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9月26日、金曜日。

ミーティングが終わるとそのまま浅草線直通の快速急行に駆け込み、成田空港へと足を向ける。

リュックの中には下着と歯ブラシ・カミソリ・充電器を詰めてきた。3泊4日、弾丸台湾旅行の幕開けである。

JetStar、GK11便・台北行き

国際線_3

22時40分。JetStar GK11便、台北行きは成田を定刻で離陸した。

滑走路をグッと踏み出すと、軽やかに機首を上げる。三人がけの座席は女子大生2名組と相席。機体が水平に戻った頃には、彼女らは眠りに落ちていた。

僕にとっては3年ぶり、2度目の海外だ。一度目は大学のゼミ研修で行ったベトナム・ダナン。今回、生まれて初めての海外一人旅に、すっかり高揚している。

旅の目的はない。宿も取ってなければ行く先も決めていない。でもなんとかなるだろう、なんとかしよう。ここ最近はスケジュールに縛られる日々が続き、気づけば手帳はびっしりと埋まっている。この旅程だけはあえて真っさらにしておいたのだ。

とはいえ全くの無計画というわけではない。二つの目的を課していた。

一つはサウナを巡ること。台湾には「金年華三温暖」「亜太三温暖」「喜都三温暖」などといった、健康ランド型のサウナ施設がある。もう一つは台北で洪申豪のライブを観ること。かつて洪申豪は「透明雑誌」というバンドをやっていて、学ラン時代の僕はタワレコの試聴機で衝撃を受けた。出発の直前、滞在中に洪申豪のライブがあることを知り、これは何としても観ておきたかった。

CAに氷結を頼み、それをチビチビとくぐらせながら興奮した脳ミソを整える。いつの間にか良い気分になり、窓縁に頭をくっつけたり、座り方を試行錯誤しながら浅い眠りに落ちる。

0時40分、ふと目を覚ます。台北まであと1時間を切った。氷結は3分の1ほど残っていて一気に飲み干した。

ふと窓の下に目をやると、橙色の光が点々とどこまでも続いている。一面は全くの暗闇で、視界に入るのはその灯りだけだ。規則的な光の向こうから、真っ白な点滅灯が近づき、あっという間に過ぎ去っていった。

暗闇に輝く大粒の光は、直ぐそばにあるようで遥か遠くにある気もする。よく目をこらすと、漁船と思しき小さな灯もポツポツと、アルコールランプのように揺れている。機内は薄暗く、すっかり寝静まっていた。もしかしたら、今この飛行機が飛んでいるのは別世界なのかもしれない。そんなことを思いながら、ふたたび瞼を閉じた。

午前2時、桃園空港。シャトルバスで市街地へ

0時55分、飛行機は定刻で台北桃園空港に到着した。翼上から見る桃園の夜景は退屈なものだ。真っ平らに続くオレンジ色の街灯。それでも高度を下げていくと、街があり、家があり、道があった。

入国手続きを終えると、腕時計はもうじき午前3時を刺そうとしている。が、1時間の時差があるので台湾では2時前だ。針を戻す。

地下鉄の始発が出るにはまだ早いし、貴重な滞在時間をロビーで浪費するのも野暮な気がする。たしか、台北駅の近くにあるサウナ「金年華三温暖」は24時間開いていたはずだ。ここで汗を流して仮眠をとろう。1階のバスターミナルに降り、カウンターで台北駅行きのチケットを140元で買うと、発車待ちをしている車両に駆け込んだ。

バスは国光客運の1819便。空港シャトルでメジャーな会社らしい。客運は日本語でバスを指す。車内に入ると、紫・緑の間接照明が薄暗く散らばっている。遮光カーテンにはレースが垂れていて、妖艶な雰囲気におもわず拍子抜けしてしまった。風俗店の待合のような怪しさだ。

台北_バス

乗客を乗せると、バスは軽快なエンジンをふかして都心部へと出発した。あっという間に速度を上げ、車線を切り替えながらグングンと車を抜かしていく。ウインカーが左でピッピッと鳴ったかと思えば、今度は右で鳴る。高速道路からは見晴らしがよく、手前にトタン張りの町工場、川を跨いで痩せたマンションが数本……。そんな景色をぼんやりと眺めていた。

ふと空港のセブンイレブンで緑茶を買ったことを思い出し、一口飲んでみる。

うっ……甘い。台湾では甘いお茶がポピュラーなようだ。思わず眉をひそめた。

生活的答案

バスは淡水河の陸橋を渡り、都心部へ入っていく。ここからバスは台北市街の停留所を順番に回りながら台北駅へ向かう。しかし、初めて聞く中国語のアナウンスに高まり、反射的に見知らぬ停留所で降りてしまった。台泥大楼。Googleマップを見てみると、金年華三温暖まではまだ4kmほどある。停留所のある台1甲線は台北から台南を縦断する主要道路だ。ビジネス街なのだろうか、高層ビルが連なりしんと静まり返っていた。

あたりは整然として日本の都心部にそっくりだが、右側通行の車線、カウンター付きの信号機、「公社専用」「禁止吸烟」といった看板のそれぞれが、異邦の地に着いたことを教えてくれる。

立ち尽くしても仕方がないため駅に向けて歩いていく。ふと思い出してヘッドホンから音楽を再生した。

洪申豪「生活的答案」

僕は台湾に生活的答案を探しに来たんだ。9月の風はほんのりの生ぬるく、読めない歌詞をそれっぽく口ずさんでみたりする。

金年華_到着

「金年華三温暖」に着いたのは3時半を回った頃だった。1甲線を裏手に入ったこの一帯は、簡易宿泊所のようなホテルが集まる。路上にはオートバイがずらりと並び、見上げれば隙間を縫うようにマッサージ店の看板がかけられている。景色のどこを切り取っても雑多で、治安が良い雰囲気ではない。

そんな路地裏に煌々と輝く「金年華三温暖」のネオンを見つけると、ふと安心感と疲れがこみ上げ、早足でエントランスへと向かった。

つづく

金年華三温暖のレビューはこちら

<TEXT/お雑煮>

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