
お酒菜

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淡路島を抜けた後、とにかく走り続けて徳島まで来ていた。
車を走らせている理由はなかった。ゴールを探していた。
以下の話は、その時に書いていた手記を基に書く。
ビジネスホテルとボヘム
徳島の市街地にあるボロ宿で目が覚めた。
昨日、徳島の夜の街を車で走っていたら、無性に泣けてきた。夜に行った八万温泉は安くて良い温泉だった。少しぬるかったけれど。
朝起きて、知らない煙草臭い部屋に気がつき、四国まできていたのは夢ではないと自覚する。
とりあえずボヘムを吸った。最後の一本だった。
(徳島市の某宿にて)
「なぜ俺は先を急いでいる?」
徳島市から酷道を走り、劔山の麓である見ノ越まできた。
国道438号は良い道だった。劔山へ向かってどんどんと登っていく。たまに車とすれ違いながら、四国山地に沿って走る。途中で分岐している林道や、魚止の滝の看板に心が動きかける。けれども、先を急いで、スルーした。
ただただ無心で道を走っていた。何も考えず、カーブを曲がり、坂を登り続けていた。
見ノ越で一休みして、景色を見る。こんなにも遠くまで来たのか、とふと思う。
なぜ俺は先を急いでいる? 何のために?
沿道に枝垂れ桜の並木が続いていた。鮎喰川に沿って走る。穴吹川に変わる。
無性に涙が出てきた。
湧き水を見つけて止まった時、薬飲んでねえや、と気がついた。鞄の中には花粉症の薬しか入っていなかった。そういや忘れていたなあ。湧き水で顔を洗う。とりあえず国道439号を進んでいく。
昨日温泉入ったけれど頭は洗っていなかった。今日は洗いたいな、なんて。
(国道439号にて)
<TEXT/お酒菜>