京滬線の新型列車で、快適な寝台旅を満喫
21時24分、荷物を置いて通路の折りたたみ椅子で一息ついていると、いつの間にか電車が動き出していました。上海駅に別れを告げ北京に向けて出発です。
電車はターミナルを抜けるとたちまち速度を上げ、120kmに達します。客車列車は、減速時に連結器が機関車の振動を拾って「ガタンッ」と揺れることがありますが、この列車はプッシュプル運転なのでほとんど揺れを感じません。保線状態も非常に良好でジョイント音も軽やかです。
電車はあっという間に郊外に入り、すっかり外の景色が見えなくなりました。それでも時折すれ違う列車のタイフォン、ジョイント音に旅行気分は最高潮に。上海駅前の売店で買ったスタウトビールとポークソーセージをつまみながら寝台列車の空気に浸ります。(ちなみに同車は洋式トイレ完備です。ティッシュペーパー要持参)
都心間の移動だからか客層は大学生と思しき20代の男女が多い印象。学生が教科書を読んだり友人と語らったりと、乗客のそれぞれが思い思いの時間を過ごしている様子でした。
23時を過ぎると消灯のため、しばらく景色を眺めてから床につくことに……。朝、目がさめると午前9時。すっかり爆睡してしまい、あと30分で北京に着く頃合いになっていました。
9時36分、電車は定刻で北京南駅に到着しました。上海より6度ほど温度が低いため、電車を降りると肌寒さが沁みてきます。寝台列車とは思えないほど快適で身体の調子もすこぶる良好。電車特有の揺れを一切感じないため、寝台列車に乗ったというよりかは安いビジネスホテルで一泊したような感覚で少し拍子抜けです。
北京-上海間、京滬線1462kmの旅路はこれにて終了。今晩からは憧れの緑皮寝台車で、四川省・成都へ向かいます。
<TEXT/お雑煮>